ホーチミン市、大型カフェが続々登場

 朝10時を回ったばかりだというのに店内は客で賑わい、照明に煙草の煙が立ちのぼる中、ずらりと並んだテーブルでは人々が楽しそうに話している。ホーチミン市1区のカフェ、Window 1の週末の光景だ。店内が混み合うのは、遊び好きの人達が目覚める朝9〜10時、OLやサラリーマンが仕事を終える午後4〜5時、そして夜の8〜9時だ。客のほとんどが若者で1階、2階、バルコニーまで客席は常にぎっしり埋まっている。このような人気カフェの前の通りは、訪れる客のバイクが並び交通渋滞となる。中には、コーヒーを飲みに車で乗り付ける客もいるという。経営者達は、時代が豊かになってきたことを感じている。
Trung Nguyenカフェが続々とオープンした数年前から、ホーチミン市では一大カフェブームが巻き起こった。インテリな青年がひとり気だるそうにカフェを訪れ、店の隅に腰をおろすとメニューも見ずに「いつもの」と一言、そしてコーヒーを飲みながらお気に入りの空間で時を過ごす。このような光景を目にするようになった。
広々とした、豪華な内装で独特の雰囲気を持つChot Nhoカフェがオープンした時は話題となり、このカフェに魅せられた建築大学の学生たちが毎週のようにやって来た。
Chot Nhoの真横にはWindow 2がオープンし、有名デザイナーが手掛けた巨大な柱と斬新な窓枠のデザインで人々の注目を集めた。
数千もの個性あるカフェが乱立するホーチミン市では、広くて内装も美しく、街中で一際目を引くカフェに行くことが流行となりつつある。
カフェに行くというのは、コーヒーを飲み、音楽を聴くためだけではなく、その行為自体がクールなのだ。一時期は「Yesterdayにはもう行った?」「Cat Dangは?」「Cam Xucは?」などど人々の間でカフェが話題になることが多かった。ホーチミン市には路上のカフェも点在するが、その中でもMetropolitan前のカフェのような、美しく装飾された高級感漂うカフェは数少ない。毎朝、街の喧騒に包まれながらのんびりとコーヒーを味わう人々の姿が見られる。Saigon Centerビルの33階のカフェは、街の“頂上”と呼ばれおり、一時期、サイゴンの人々は、こぞってコーヒーを飲みに行った。Highland、Sunwah TowerのCentral、Rexホテル屋上のカフェには外国人やビジネスマンの他、有名人を目にすることもある。
一時流行したSong Trangのオーナーは「以前はセンスの良い音楽をかけていれば客が集まりました。店ではそれぞれの客が心地よいと感じる曲を察して流したものです」と話した。Van Cao、Phuong Cac、Dien Anh、Dana、Van、そしてThanh DaにあるSong Trang、DS、Tuoi Treなどの“楽園カフェ”などがそうで、客たちはそれぞれのカフェでオリジナルの雰囲気の中、ひと時を過ごしたものだ。ベトナムの懐メロ好きな客たちは今も昔もThuy TrucやTuan Ngoc、27に足を運ぶ。
Carmenという、地下にある穴倉のようなカフェでは、ジプシー風の格好をした女の子が楽器を奏で、アフリカ人の歌手がフラメンコのメロディーに酔いしれながら歌う。また、建築家たちが手掛けたYokoという、こじんまりしたカフェでは、ビートルズのメロディーが流れる。Montana、Coi Rieng、Khuc Ban Chieu-Serenata、Ciao、Hinh Nhu La、Niet Ban、Gio Bacも独自の趣向で人々の心を捉え、こだわりを持つ客達を魅了する。一歩出遅れて誕生したMethalicは、60〜80年代ポップスで人気を集める。
Windowに集まる若者達は「ここは自分たちの店」といった様子で入ってくる。飲み物は平均2万ドン、1グループで10万〜20万ドン以上になる。決して安くはないが、“遊び人”にとってはそれほど高いわけではない。センスの良い着こなし、携帯電話を手に、カップの持ち方から立ち居振舞いまで洗練されたモデルのように美しい女の子たちは、どのカフェでも男達の注目を浴びる。
個性豊かなカフェ、Chot Nho、N’Nice、Thien Ly、Cam Xuc、Hinh Nhu La、Sai Gon Phoなどを手がけたのは驚いたことに、建築家ではなくエンジニアのNguyen Cong Bang氏だ。「若者は見晴らしの良いにぎやかな場所を好み、ビジネスマンは静かな場所を選び、ゆっくりと雰囲気を味わいたい人は幻想的な場所を好みます。私が手がけた店にはそれぞれの特徴があり客層も異なります。そうでなければすぐに飽きられてしまいます」とBang氏は話す。
「カフェ経営は空間を提供する商売である」と言われ、厳しい競争の中、経営者たちは店のインテリアに力を注ぐ。カフェが華々しくオープンを飾ると、人々は「オーナーは越僑か外国人の建築デザイナーを雇ったに違いない」と噂する。開店のために50〜70億ドン(約33〜47万ドル)を投資するというのは今や珍しい話ではない。オーナーは雰囲気を出すために、モデルや歌手をサクラとして雇う。競争で生き残るため、大規模なカフェが合併することもあり、小規模なカフェ経営者には太刀打ちできない。このような一大カフェブームによって、インテリア用品、経営コンサルティングなど、周辺のサービス業も発展し始めた。
 今まで、これほど多くの、そして様々なスタイルのカフェは存在しなかった。ホーチミン市から離れれば、1杯のコーヒーが恋しくなるだろう。

(Tuoi Tre Chu Nhat)

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