中国人行商人、性欲促進剤を販売

 現在、ホーチミン市で行商をしている中国人は少なくない。男女問わず、こぎれいな身なりをし、手には双眼鏡、首から小さな袋を斜めにぶら下げ、肩には品物の入った大きな袋を担いでいるので、ひと目で見分けることができる。
路上のカフェでコーヒーを飲んでいたところ、1人の青年が近づいてきた。そして、おどおどしながら双眼鏡を取り出し、私たちに見せた。値段を聞くと、青年は、何も言わず微笑んで電卓に20万ドン(約13ドル)と打ち込んだ。私たちが首を横に振ると青年はもう一度電卓に数字を打ち直した。15万ドン(約10ドル)、10万ドン(約7ドル)と値段は下がっていった。双眼鏡の次には、時計や電卓、眼鏡、自動シェーバー、そしてキーホルダーなどの細かい土産物まで一つひとつ取り出して見せた。
 ベトナム語を知らない彼にとって、客と値段交渉するすべは電卓のみだ。それでも何とか商品は売れる。偽ブランドの腕時計は3万ドン(約2ドル)、自動シェーバーは4万ドン(約2.6ドル)だ。ただし、最初、腕時計は15万ドン(約10ドル)、髭剃りは10万ドン(約6.6ドル)の言い値であったが…。
彼らは10〜15人のグループを組んでベトナムへやって来る。その多くは、徒歩か列車、長距離バスで北部の国境を越えてやって来る。「中国語の話せる客に会うと親しみを感じる」と話す広州出身の行商人Mei Pingさんは、ベトナムへは観光ビザで入国したという。中国側にいるボスが入国書類、交通費、商品に至るまですべて準備してくれたため、到着後はただ商品を売ればいいのだという。
彼らに、どこのホテルに宿泊しているのか尋ねると「滞在先を他人に話してはいけないと言われているんだ。最近は公安の手入れが多いからね」と言われた。
5区で客待ちをしているバイクタクシー運転手らによると、テト(旧正月)前、当局がこのような行商行為への取締を強化する以前、彼のような行商人は、中国人が多く居住している5区のCho Lon地区のホテルの一室に数人で宿泊していたという。1泊10〜15万ドン(約7〜10ドル)の部屋に4〜5人で泊まるのが常だったようだ。
いつも5区の交差点で客待ちをする、バイクタクシー運転手のTさんは「彼らがまだ行商していた頃は毎日、Tan Binh市場前の広場まで乗せて行ったものだよ。半月位でメンバーが入れ替わるんだ。商品補充のためにHoa Hung駅まで連れて行くように頼まれることも時々あった。近頃は公安の取締が厳しいから、彼らは分散していて集まることはないよ。行商人の数自体が減ったみたいだね」と語った。
中には、双眼鏡や電卓、時計はあくまでも脇役の商品でしかなく、彼らが本当に販売したいものは性欲促進剤だという。ある行商人は、男性用、女性用の両方、飲み薬から塗り薬まで取り揃えていて、“行為”の最中も効果が持続すると宣伝していた。彼は「これは、飲み物に溶かして女性に飲ませることもできる」と粉薬を薦めていた。性欲促進剤は価格もピンからキリまでだ。小指の先ほどの小さな錠剤1錠を4万ドン(約3ドル)で買わされた客は「興味本位でうっかり買ってしまったけど、どんな副作用があるのか分からないから使えない」と話していた。
しかし、このような行商行為は法律で禁止されているため、公安当局に見つかれば罰せられる。ある市場の管理部によると、彼らの商行為は脱税にあたり、市場の混乱を招くため、今後も当局の許可を得ることは不可能だという。

(Sai gon Tiep Thi)

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