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シクロ運転手から起業 −ファングーラオのBAOさん−

 日本人観光客について取材を進める中、Baoという人物が手がけるツアーが日本人の人気を集めていることを耳にした。日本人観光客から聞いた住所を頼りに、私たちはBaoさんの「観光事務所」を訪れた。
 Baoさんは、「Pham Ngu Lao界隈で『シクロのバオ』と言えば、誰もが知っていますよ」と話す。今や「起業家」として成功したというのに、なぜ名前を変えないのかと尋ねると、「『シクロのバオ』という名前は、ここ十年間の私の人生と仕事に深く関係しているのです。私のことを知る人たちもこの名前で覚えてくれています。シクロに乗っていたことは、隠すような恥ずかしい過去ではありません」と答えた。彼は、苦楽を共にしたシクロを辛かった時代の想い出として今でも家で大切に保管しており、「シクロのバオ」の名前をとても誇りに思っていると語る。
 Chau Hoan Baoさんは1990年に退役し、職を求めてあちこち捜し歩いたものの叶わなかった。そこで彼は借金してシクロを購入し、ホーチミン市内の外国人旅行者が集まる地域で生業とした。1994年、この地域には多くの日本人バックパッカーがたむろしており、Baoさんのシクロを利用することもしばしばだった。彼はより多くの客を獲得するためには片言でも日本語が必要だと考え、1965年発行のWatanabe氏著作ベトナム人向け日本語教材で独学を始めた。言葉を覚え、客と簡単な会話が出来るようになり、仕事を通じて日本人観光客と数多く接触することで、彼の日本語は日増しに上達していった。そして、彼は知らず知らずのうちに日本人客御用達となった。
 2001年末、ベトナムを訪れる日本人観光客の数は激増し、旅行会社は一味違ったツアーを求める日本人客の要望に対応できない状態だった。Baoさんは、この頃自分でツアーを企画することを思いついた。バックパッカーエリアで過ごした長年の経験から、彼はベトナムに滞在する4、5日間に日本人観光客が何を求めているかを理解していた。
 シクロ業を一時休業し、Baoさんは新しい商売を始めようと「オフィス」を構えた。彼のオフィスは2uにも満たない小さなもので、Pham Ngu Laoのあるホテルの階段の脇にあった。小さな机の他には日本語OSのノートパソコン、ウェブカム、携帯電話があり、ウェブサイトにはBaoさんが主催するツアーやサービスが日本語で紹介されていた。
 日本人観光客は、水田見学ツアー、夕日鑑賞ツアー、釣り・ボート漕ぎ体験、アオザイツアー、Long An陶器製作、孤児院訪問など、独自のツアーを組んでもらうためにBaoさんのもとを訪れる。Baoさんは、「私のツアーは種類が豊富です。お客さんの希望があれば、それを全力で実現します。メールでの申し込みにも対応できます」と自身満々だ。ツアー料金は人数と内容により決まる。例えば、日本語ガイド、エアコン付き自動車、ホーチミン市中心部にある大手レストランでのベトナム料理の昼食が付いた市内観光ツアーは2人催行で、1人あたり45ドルとなる。市内観光とCu Chiトンネルツアーを兼ねる場合、1人あたりの料金は55〜60ドルだ。
 日本人観光客がベトナム人の生活を垣間見ることに興味があることを彼は知っている。このツアーは見学だけでなく人里離れた静かで落ち着ける場所でなくてはならないため、BaoさんはNha Be県に行き、この地区の住民たちに観光客が休む場所として家を提供するよう協力を求めた。このツアーは1人35ドルだという。彼らはハンモックで休み、昼食を取り、午後にはベトナム人の家族と一緒に釣りに行き、船を漕ぎ、田んぼを訪れ、Sai Gon川を船で下るなどして1日を過ごす。Baoさんは、「このツアーを希望する場合、少なくとも1週間前に予約して頂ければ、他のグループと時間が重ならないように調整することが出来ます」と説明し、「このツアーを選ぶ人は静かでプライベートな時を過ごしたいと考えているので、他の観光客と休憩所をシェアすることを好みません」と話す。
 Baoさんは、日本人観光客向けに希望に応じて結婚式ツアーも催行している。ベトナム人の挙式スタイルに基づき企画されたこのツアーでは、花嫁だけでなく式に参加するベトナム人全員がアオザイを着て3区のXa Loi寺を参拝し線香をあげる。家に戻る日本人花嫁を迎えるのはシクロだ。すべてが迅速に段取りよく進められる。彼らは夜に到着し、翌日の朝に挙式したかと思うと、次の日には帰国するのだ。この結婚式の料金はバイクWave Alpha 1台分に匹敵する。Baoさんは2003年、合計4組の日本人カップルのために結婚式をアレンジした。
彼は孤児院訪問ツアーも企画しており、幼くして不遇な子供たちとの交流やボランティア活動を望む日本人観光客の要望に応えている。お客が訪問するのは、Binh Duong省の病院やLong Thanh孤児院など「余り人に知られておらず、外国人はめったに訪れない」場所だ。
Baoさんは観光業だけでなく、日本の顧客のために食材や手工芸品の輸出も手がけている。彼は、「日本ではベトナム料理を出すレストランが多いのですが、本格的な食材が不足しているため、これがビジネスチャンスになるのです」と話す。これらの飲食店が口コミを通じてBaoさんを知り、彼に店のメニュー用に材料の買い付けを依頼する。注文を受けると、彼はヌオックマム(魚醤)、醤油、ライスペーパー、バナナの葉や花、ココナッツの葉、ハス、香草、バインセオ(ベトナム風お好み焼き)の粉などの食材を買い付ける。商品の種類や色合い、大きさに関して特別な要望がある場合、彼は商品の写真を顧客にメールで送り、ウェブカムを使って実物を見せ、日本に輸出する前に客に最終確認をしてもらうのだ。

バオ氏の日本語ホームページ : バオ シクロツアー
[ http://www.hoanbao.com ]
(Tuoi Tre)
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