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高級車を乗り回すベトナムの“御曹子”たち

 ホーチミン市3区に住む運輸業界の重鎮の息子Bao君は、自分の誕生パーティーで、「今は車がないとねー。高級車ならどんなに可愛い子でもゲットできるし、彼女や友達と出かけるのにバイクなんかに乗ってたら鼻であしらわれるのがオチだね」と力説した。友人にバカにされるのが嫌で、Bao君は父親を拝み倒して8億ドン(約5万3,300ドル)近くもするMazdaの新車を買ってもらった。
 8月7日23時、ホーチミン市1区Quoc Teスクエアで1台の黒いBMWがその美しい車体を見せつけるかのようにロータリーを悠々と2周し、Windowsカフェに横付けした。18〜20歳と見られる茶髪の若い男女2組が車から降りてきた。友人は、「あのBMWは相当な代物だぜ。あれをポンと買ってやるなんて親はよっぽどの大物だろうな」と羨望の眼差しで眺めた。
 8月8日0時45分、Tan Son Nhat空港に続くTruong Son通りに2台の高級車がアクセルを吹かして猛スピードで現れ、道行く人は慌てて脇に飛びのいた。ロータリーに差し掛かったところで2台は横にぴったりと並び、クラクションをけたたましく鳴らして急停車した。カーステレオからは音楽が大音量で流れていた。ドアが開き10人ほどの若い男女が降りてきた。1人の若者がさっと上着を脱いでボンネットに広げると、別の若者が酒の瓶とショットグラスを取り出しその上に置いた。カーステレオのボリュームを最大にすると彼らは踊り始め、次々にグラスの酒を飲み干していくのだった。
 私たちは友人から借りたMatizでそこに乗り付けると、クラクションを鳴らして“挨拶”した。16、17歳の女の子がグラスを片手に手招きし、仲間に加わるよう合図した。安物の車で“御曹子”を気取った私たちを見ると、若者たちは小声で囁き合っては笑った。自己紹介を済ませると、“近づきのしるし”に車の持ち主のHai君とPhuc君から喉が焼けるようなコニャック“XO”を1杯ずつ勧められた。話していくうちに、彼らが1区と5区の商業界で名の通った人物の“御曹子”であることがわかった。車はMercedesとToyota 5152で、どちらも彼らの今年18歳の誕生日プレゼントにと両親から贈られたのだという。この晩は、クラブに顔を出した後Sai Gon橋のほうへ繰り出し、ここに戻って来てまた一騒ぎするのだと言っていた。
 飲み始めてから20分も経たないうちに、酒の瓶は空になった。若者たちが車に乗り込もうとしたときHai君の携帯電話が鳴った。取り出したのは1,000ドル近くもするNokiaの最新モデルだった。二言三言相槌を打つと、Hai君はリーダーらしく大きく腕を振って、「さあ、行くぞ。朝まで遊べる場所が見つかったぜ!」と仲間を仕切った。皆車に乗り込むと、アクセル全開で中心部の方へ飛ぶように消えていった。
 午前1時30分、ホーチミン市中心部は依然として賑わっていた。多くのバー、カフェ、飲食店などが夜遊びする人たちのために店を開けているのだ。Nguyen Hue通り、Dong Khoi通り、Ngo Duc Ke通り、Ham Nghi通り、Hai Trieu通りには高級車各種がずらりと並んでいた。Mua Rungバーの前にはコンバーチブルが停まっており、カーステレオからは大音量で音楽が流れ、2組のカップルがシートにもたれ目を閉じていた。Dong Khoi通りに戻ると、派手にペイントされた3台の高級車がエンジンを低く唸らせながら並んでいた。
 高級車を乗り回す遊び人たちは、はっきりとクラス分けされている。四輪車なら何でもいいというわけではないのだ。きちんと“節度”が保たれるよう、メーカー、車種、年代でふるいにかけられている。Hai君は「Toyota 6.0かToyota Camry、Mercedes、Mazdaの4ドア、BMWの10億ドン(約6万6,700ドル)クラスじゃないと話にならないよ。他のそこそこの車は、相手してもいいけど格が違うんだ。グループの中で1番いい車を持っているヤツがもちろん発言権を持つね」と言う。上からMercedes、BMW、Camry、Mazdaという格付けで彼らは品定めする。
 ホーチミン市公安交通警察部第3班のある幹部は、「未成年者の無免許運転の状況は日毎に悪化しています。17歳になったばかりの若者がMercedesを乗り回し、暴走するといったケースが増えているのです。違反切符を切るときに、『免許証もないのに車に乗ってるのはどういうことだ?』と聞くと、『お袋がいいって言ったんだ』と答え、『誰に乗り方を教わった?』と聞くと、『親父』という答えが返ってきたりするのです」と話す。
 5区在住のToyota Camryを持つBinh君に、「運転は難しい?」と聞くと、「バイクより簡単だよ。友達に2、3日教えてもらえばスイスイ走れるよ」と言う。「免許証は?」と聞くと、「心配無用。取りたければすぐ手に入るからね」と言う。「警察に捕まったらどうするの?」と聞くと、「停車中なら親父か免許持ってる友達を呼ぶね。走ってるときに止められたら泣きついて金を渡すよ」と言う。さらに、「警察がその金を拒否したら?」と聞くと、彼は笑って、「親父が一言話せば即解決さ」と悪びれた様子もない。
 1区に住むC君は、「車の運転なんて朝飯前。ちょっと練習すれば自由自在に操れるようになるよ。彼女にも教えてやったんだ。今じゃ俺が酔っ払うと代わりに運転してくれるんだ。この前も2人でVung Tauまで走って貝食べて一晩で戻って来たよ」と自慢げだ。
 7月22日21時30分、5区のNguyen Trai通りとTran Binh Trong通りの交差点でホーチミン市公安交通警察は、カーレースによるスピード違反および贈賄罪の前科があるNguyen Quoc Cuong(1982年生まれ)、Ta Quang Vu(1976年生まれ)およびNguyen Ngoc Lamの3人の“御曹司”が違法駐車をしていたため、警察が車両の登録証の提示を求めたが3人とも携帯しておらず、免許証の期限は切れていた。違反切符を切る時、Cuongは前科があるにも関らず賄賂として20万ドン(約13.3ドル)を渡そうとし、はねつけられると大声をあげ、警官の職務を妨害した。3人が所有していたMercedes、Toyota Camry、BMWは現在も没収されたままだ。
 このような状況について、ホーチミン市公安交通警察部のThan Minh Khuya副部長は、「未成年の無免許運転は、本人はもちろん周囲の人々の生命を危険にさらします。以前から私たちはバイクの違反取締りに力を入れてきましたが、自動車についてはまだ着手したばかりです。交通警察部は近日中にこの状況の打開策を打ち出していく予定です。違反すれば重罰は免れず車は没収されます。ただ無視できないのは、これらの違反ケースの背後に無責任な保護者たちの影があるということです」と述べた。

(Phu Nu)
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