Daniel You氏は才能豊かな画家だ。展覧会を訪れたPierre Cardin氏は彼に“ビジネスマン”としての才能を見出し、Pierre Cardinブランドのデザインを一任すると同時に、ベトナム市場における業務の全てを委ねた。ベトナム人とフランス人の血を引く彼は、普段は明るく大らかな性格だが、いざビジネスの話になると表情が一変する。 Q: ベトナムでビジネスを展開する上で最も苦労したことは何ですか? A: どこの国でもビジネスを思い通りに進めるのは難しいものですが、何より悲しかったのは共同経営者が契約を遵守してくれないことです。意匠権の購入は契約期間と内容を守ればあとは何をしてもいいというわけではありません。ベトナムで弊社ブランドの質を維持していくという私の責任は非常に大きいのです。 Q: なぜAn Phuoc社、Savico社とフランチャイズ契約を結ばれたのですか? A: この2社はベトナム市場での地位を確立しており、国際市場への参入に向けた明確な意志がありました。An Phuoc社にはシャツと男性用背広、Savico社には婦人服と子ども服の生産権を委譲しました。現状ではベトナム市場で投資額を回収するまでに至っていませんが、大切な事は技術や創造性を伝達するために意匠権を委譲し、より多くの人々に就業機会を提供することです。それが平等なビジネスだと考えています。 Q: “平等なビジネス”とはPierre Cardin全体の企業哲学なのですか? A: Pierre Cardinが目指すのは“全ての人々のファッション”であり、高級なブランド製品をいかにして大衆の手元に届けるかということです。ファッションとは私たちの夢であり、その夢は実現されなければなりません。もちろんアーティストにとっても創造した作品が大衆に認められてこそ成功したと言えます。 Q: ベトナム人の美的感覚や若手デザイナーをどのようにご覧になりますか? A: 多様で、かつフランスと似ている要素が多々あると思います。しかし私にはベトナムの若いデザイナーを一律には評価できません。世界は広く、あらゆる志向が認められて当然であり、自分の価値観を他人に押し付けたくないからです。私は精一杯努力し続ける人を応援します。 Q: Pierre Cardin氏のベトナムに対する思いやベトナムでの夢を教えて下さい。 A: 彼にとって、アジア、特にベトナムはとても魅力的な場所だと言えます。ベトナムは文化、芸術、経済などの面でフランスの影響を大きく受けています。ベトナムはフランスよりも人口が多く、人々の購買力も増大すると同時に、消費者の好みも多様で、適応力も高く、好奇心旺盛なところに惹かれたのでしょう。Pierre Cardin氏にとっては、すでに安定している西洋諸国や米国よりもベトナムのような発展途上の市場に魅力を感じるのです。 彼と出会ったのは1991年に開いた展覧会で、彼は私の作品を気に入り何点も購入してくれました。私がベトナム人とフランス人のハーフであり、第二の故郷であるということでベトナムでのPierre Cardinブランドを任されるようになりました。 Q: アーティストからビジネスの世界に足を踏み入れ、矛盾や戸惑いを感じましたか? A: ビジネスの世界では自分の決定が社内全ての人間に影響を及ぼします。また周りの人々との協力も欠かせません。一方、画家であれば、自分の作品が売れるか売れないかは自分自身の責任、迷惑をかけたとしても自分の家族ぐらいです。ビジネスの世界の方が責任は重いと言えますが、そのお陰で様々な文化と触れ合う機会に恵まれました。 Q: ベトナムへの思いを教えて下さい。 A: 風景や食べ物はもとより、やはり私が魅力を感じるのはベトナムの人々です。中国人や日本人のようにあまり自分の心を表に出さないアジアの人々と違って、ベトナム人はオープンで、温かく、親しみやすいと思います。またベトナム人女性はフランス人女性よりも“女性らしさ”に溢れていると思います。最近のフランス人女性のファッションが男性化しているのとは対照的です。路上ではベトナム人女性がバイクのミラーを手鏡代わりに使うのを良く見かけます。フランスでは通りで女性に微笑みかけても微笑みが返ってくるのは稀ですが、ベトナムではどこに行っても素敵な笑顔が返ってきます。
週4回 (月・水・金・土) 電子メールでニュースを送付します。 日系ベトナム進出企業の定番情報収集メディアとなっています。 下記のPDFファイルをクリックし、提供情報の内容をご覧ください。