ベトナムの少数民族の暴動、在米越僑が関与

 4月10日、Tay Nguyen地域のDac Lac省とGia Lai省を中心に、少数民族による大規模な暴動が起こった。この暴動には、在米越僑Kok Ksor氏が深く関与していると見られている。
 4月10日未明、Dac Lac省Buon Ma Thuot市、Chu M’Ga県、Krong Ana県内にある集落532のうち30の集落に住むEde族の老若男女約1,000人がトラック230台、バイク数百台に分乗し、Buon Ma Thuot中心部へ向かった。彼らは、刃物や、棒、弓、石などの凶器を持参しており、途中で市場や商店に押し入り、略奪行為を制止する店主との間で揉み合いとなり負傷者が出た。これを受け、欧米のメディアは「Kinh族(ベトナム人の大半を占める民族)により宗教的弾圧および暴力を受けている少数民族が自由を求めデモを起こした」と報道したことが、人々の間に波紋を呼ぶこととなった。
 Gia Lai省では、4月10日早朝、Ayun Pa、Chu Se、Dac Doa、Duc Co、Chu P’Rongの5つの県とPleiku市在住の少数民族が、人民委員会に押しかけ職員に詰め寄った。また一部の人々が、職員に暴行を加え、事務所を荒した。このような暴動が複数の地域で起こったため、Gia Lai省の指導部は緊急会議を開催し、暴動発生地域に職員を派遣し、制圧させた。その甲斐あって、同日中に暴動は鎮静化し、人々は通常の生活に戻った。その日は教会で復活祭のミサが予定されていたが、信者たちは無事にミサに参列することが出来た。
 デモに参加した人々に会って、話を聞いたところ、今回の暴動は、在米越僑のKok Ksor氏がベトナム国内にいる仲間に指示を出して引き起こしたということが分かった。
 Dac Lac省Chu M’Ga県Ea H’Ding村Trap集落のY Krue Nieさんによると、4月9日の夜中、突然、家の扉を叩く音が聞こえたため外に出ると、黒い服を着たEde族の見知らぬ男2人が立っていた。2人はEde語で「我々は、明日(4月10日)の朝、Kinh族がこの集落に侵攻してくるという情報を掴んだ。そのため、国連の飛行機で米国へ渡る手筈は整えている。だから、今すぐ家族を起こして荷物をまとめ、集合場所まで来て欲しい。その後、皆でBuon Ma Thuotまで行き、国連の飛行機に乗る。米国へ渡れば良い生活が出来る」と手短に告げると立ち去った。そこでY Krue Nieさんはすぐに妻と子供を起こし、食料や衣類、子供の勉強道具などをまとめてトラクターに詰め込み、朝の4時に集合場所へ行った。そこには集落の全住民が集まっていた。しかし、Buon Ma Thuotの手前のEa Poc村へ入ったところ、数百人の集団が引き帰して来たため、Y Krue Nieさんたちも村に戻ったという。
 また、他の村では、4月8日、Ede語で「Kinh族がこの村に侵入してくる。住民は追い払われ、宗教の自由も認められなくなるだろう」と書かれた扇動文書が出回ったという。そのため、住民は文書に記載されていた通り、4月10日の朝、指定の場所に集まり、国連の飛行機で米国へ渡るためにBuon Ma Thuotへ向かった。しかし、結局は途中で引き帰すことになった。この村で小学校教師をしている2人の女性は、この暴動に参加する意思は無かったが、Ede族の男に無理やり参加を強いられ、さらに、Buon Ma Thuotへ向かう際、鉢巻を付け、「先祖代々の土地を守るためなら死も辞さない!」とEde語で書かれたスローガンを書いた布を持つことを強要されたという。
 この暴動による死者数を、BBCが当初「数十〜数百人」と報道したため、人々の波紋を呼んだが、その後、BBCは誤報を認めた。
 4月9日、Transnational Radical Party(TRP)という団体のウェブサイトに、「ベトナムTay Nguyen地域在住の少数民族に対する血を流す弾圧」と題し、「4月10日、ベトナム政府に対する宗教の自由を求めて、Tay Nguyen地域在住の少数民族15万人による暴動が起こる」と記載された。そして、国際機関に対し、Tay Nguyen地域で直接この事実を確認し、少数民族の基本的人権を守るよう呼びかけた。さらに、「地域住民は暴力を受け、毒薬を投与されている」とも記載されていた。しかし、その情報源については明らかにされていない。
 4月10日には、Kok Ksor氏が関与するとされている別の団体のウェブサイトにも、「Tay Nguyen地域の少数民族15万人がBuon Ma Thuotに向かい、ベトナム政府の厳しい宗教弾圧に反対し暴動を起こしたが、ベトナムの公安および関連当局の特別部隊により制圧された」という内容の文書が掲載された。そして、この暴動による被害については、当初は「数十人が死亡、負傷者も続出し、中には首を切断された人もいる」とされていたが、最終的には「200人が死亡し、死体は市内やコーヒー農園に捨てられた」と更新された。
 これらのウェブサイトの情報から、今回の事件は予め仕組まれた組織的犯行で、ベトナム側にも協力者がいることが分かる。
 今回の騒動の死亡者数について、Kok Ksor氏は、TRPのウェブサイトを通して、4月10日には200人と発表した。さらに、翌日にはバチカンで「Tay Nguyen地方で400人のキリスト教信者が殺された」ことに反対する人々のデモの光景を映した写真を掲載、4月13日には、AP通信社のインタビューに対し、「ベトナム政府は住民を殺した後、川に投げ捨てたと聞いている。身内からの情報では、4月10日からの死者数の累計は2,000人に上るようだ」と述べ、さらに「小さな子供は誘拐され、大人は家の外に出ると銃殺されるそうだ」と話しているという。

(Tuoi Tre)

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