人民委員会の専門家、一貫性の無い判断

 ホーチミン市人民委員会事務局には、書類や文書の処理などの各種行政事務において、人民委員会指導部の片腕となる専門家がいる。仕事の専門性は高く、大卒で成績優秀な人、または官庁や区・県の人民委員会での勤務経験がある有能な人物だけに門戸が開かれている。しかし、多大な労力を費やす割に平均月収は80万〜130万ドン(約53〜87ドル)と低く、夫婦そろって公務員の場合、2人の収入を合わせても生活は苦しい。南部解放直後から勤務している定年間近の人も多いが、事務局長や指導部などに昇進できる人はほんの一握りだという。
 市人民委員会事務局では、60人の専門家が分野別に9つの部に配属され、区や県の人民委員会、官庁から提出される提議書や報告書などの書類を審査する。他にも市の指導部の管理・指導に関連する資料収集や指導文書なども作成している。3月24日、市人民委員会は80件の文書を公布したが、そのほとんどが専門家の手によるもので、中には1人で6件もの文書を担当した専門家もいた。
 官庁の職員は、専門家に頼り切りで、問題が起こるとすぐに丸投げするという。通常、区や県が予算申請を行う際は、市人民委員会へ申請書を提出する前に計画投資局や財政局に意見を求めることが定められているにも関らず、直接、市人民委員会に提出されるケースがある。この場合、専門家はまず、計画投資局や財政局に見解を求める申請書を作成し、さらにこれらの手続きを終えた旨を区や県に伝達するための公文書も発行しなければならないという。また、官庁から提出された文書の修正に多大な時間を費すこともある。ある専門家は「以前、ある官庁から土地使用権に関する全く同じ文書が2通提出されたのですが、1通は使用権を承認、もう1通は承認されませんでした。提出前にどちらなのか確認してくれると良いのですが…」と話した。
 また、専門家の職務や権限についての規定は非常に曖昧だ。例えば、「人民委員会の指導は専門家により区や県、官庁に伝達される」と規定されているが、伝達方法については触れられていないため口頭による伝達が慣習化している。
 専門家は区や県、官庁にとって人民委員会の窓口的な存在で、官庁から提出された文書の審査を一任されている事を逆手にとって、独断で文書内容を改ざんするケースも見られる。
Nguyen Thi Tuong Lanさんは、1943年にホーチミン市内の一軒家を購入した。契約書は売り主と買い主双方が合意したことを簡潔に記した手書きの文書だった。当時、Lanさん一家は革命活動に参加しており、留守がちだったため、家の管理をある人に任せた。しかし、南部解放後、家主の不在を理由に家は政府の管理下に置かれた。Lanさんは契約書を紛失したため、知人の証言から家の所有者であることを証明し、返還を求める申請書を市人民委員会に提出したが、専門家が申請書の内容を改ざんして指導部に提出したため、返還は承認されなかった。2003年10月、Truong Tan Sang議員はこの件について、市人民委員会専門家の不正によりLanさんの申請内容が歪められたと指摘した。市人民委員会はLanさんへの家の返還に向けた手続きを開始したが、Lanさんはすでに他界している。
最近、ある専門家が知人からの依頼を受け、9区の土地所有権に関する市の監査機関の報告文書を改ざんし、減給処分を受けた。報告書では「土地の管理権および所有権は国に属するが、土地の具体的な利用計画が立てられるまで一時的に土地の使用権を認める」とされていたが、「一時的」という部分を削除したのだ。そのため知人は土地を売却し、多額の利益を得た。
1990年代、ある専門家が、本来なら認められないはずの住宅の返還が実現するよう申請内容を改ざんして市人民委員会に提出し、賄賂を受取っていたことが明らかとなった。各官庁の職員が多大な労力を費やして作成した文書が、1人の専門家の手により内容を改ざんされ、承認されてしまうという事態が発生している。
 専門家が審査した文書は指導部に直接提出される。「再検討が必要と思われる文書については事務局長から専門家に指導を行う」と規定されているため、事務局長にも提出されるが、これは報告程度のものに過ぎず、事務局長自身の裁量は弱く審査は杜撰だ。さらに、指導部が重要事項の最終決定を専門家に委ね、問題発生時には指導部、専門家ともに責任逃れをするというケースもある。
 市人民委員会のLe Thanh Hai委員長は、専門家が指導部に決定事項を報告する際、本来ならば1つの決定のみを記載するよう規定されているにも関らず、責任回避のため、複数の提議がされている現状を批判している。ある不動産の処分申請文書では、統一性の無い3つの処理方法が提案されたという。
 

(Phap Luat)

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