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Vinastar Motors社に聞く、自動車市場の現状と展望

 Mitsubishi Motors社の自動車生産・販売を行うVinastar Motors社は7月初め、新型Jolie 2.0を市場投入した。Jolie 2.0は現在、国内市場で最も人気のある自動車のひとつで、約2カ月の軽トラック新型Canter 1.9LWに続くモデルチェンジとなる。
 年初6カ月、国内の自動車市場は増税の影響を受け、販売台数は激減した。このような苦境の中、新型車の発表会を大々的に行ったVinastar Motors社のTsukahara Kazuo社長に話を聞いた。


Q: 今年上半期におけるベトナムの自動車市場についてどのようにお考えですか? また、御社の業績についてもお聞かせ下さい。

A: ベトナム自動車メーカー協会(VAMA)会員企業の自動車販売総台数は、年初5カ月間で前年同期比23%減となりました。しかし、この中には昨年契約して1、2月に納品したものも含まれていますから、実際は前年同期の半分ほどです。特別消費税と付加価値税(VAT)が増税され、その対象となったセダンタイプの販売台数は前年同期比42%減となり、他の車種(多目的車、四輪駆動車)は前年同期の半分ほどにまで落ち込みました。トラックについては税率がほとんど変更されなかったことから、Canterは前年同期比67%増と売り上げを伸ばしました。VAMA会員企業の2003年の自動車販売総台数は、前年比58%増でした。税率が変更されなければ、今年の販売台数は確実に伸びていたはずで、ベトナムを潜在性のある市場のひとつと捉えています。弊社の2003年の販売台数は前年比100%増でしたが、今年は非常に苦戦を強いられており、下半期で挽回を図り昨年並みの販売台数を達成することは至難の業でしょう。


Q: 年初からこれまでに、御社は新型Canter 1.9LWと新型Jolie 2.0を市場投入しましたが、この時期にモデルチェンジを行う理由は?

A: ニューモデル、モデルチェンジ、共に市場投入には多額の投資が必要です。通常、ニューモデル開発には1億ドル以上のコストがかかります。もちろん、子会社である弊社単独では実現できません。親会社であるMitsubishi Motors社の出資によって初めて実現するのです。ニューモデルの発売サイクルは通常5〜6年で、うち2年に1度モデルチェンジを行います。弊社は2年前にJolie 2002を、今回はJolie 2004の市場投入を行いました。


Q: Jolieがベトナム市場に初めて投入されたのは1998年でした。ということは、6年目を迎える今回のモデルで最後となるのでしょうか?

A: それは市場での売れ行きにより判断します。


Q: 国内の消費者は、自動車メーカー各社が年内にニューモデルの発売を行うことを期待していますが、これについてはどのようにお考えですか?

A: もちろん多くの顧客を惹き付けるために、継続したニューモデルの投入を行い、販売台数の増加を目指す計画を立てています。しかし、税率の引き上げ幅があまりに大きいことから、自動車販売台数は激しく落ち込み、VAMAの会員企業の中にはベトナムからの撤退を検討している企業もあります。弊社も計画の延期を余儀なくされました。
 2005年から特別消費税が5人乗り自動車で24%から40%に、8人乗り自動車で15%から25%に増税される予定です。このような大幅な増税が実行された場合、消費者の購入欲が低下するのは当然の成り行きです。


Q: 自動車メーカー各社は増税を理由に自動車価格を値上げしました。しかし、財政省は、自動車メーカー各社がベトナムに投資を始めた当初から自動車価格は高く設定されていたため、各社には価格値下げを行う経営努力が必要だとしています。増税は、政府の自動車生産企業に対する長年にわたる優遇政策を打ち切り、各社における生産の内地化促進を図るためだとしています。こうした政府の方針で内地化が進むとお考えですか?

A: 課税前の価格を比較すると、2004年の価格は2003年よりも低く抑えられています。各社が値下げを行ったにも関らず、増税により販売台数は大幅に落ち込みました。そのためさらなる値下げを行ったり、多額の資金を投じて大々的にキャンペーンを展開したりと各社は様々な方策を講じましたが、すでに限界です。自動車生産は、設備投資に多額の資金を必要とするため、投資資金の回収には何年もかかります。昨年、弊社は設立以来初めて黒字を計上しましたが、この利益を将来のために再投資しなければならないのです。利益が出なければ私たちは投資を続けることが出来ません。特別消費税とVATは販売した商品に対し課税されるものですから、内地化とは関係がありません。逆に増税によって自動車の販売台数は落ち込み、内地化率を高める上での障害になると思います。
 生産台数が増加しなければ内地化の促進は不可能です。内地化を効果的に進めるためには減税により自動車価格を下げ増産を図り、部品生産企業の投資を誘致することが必要です。増税が市場の発展を妨げている現状では、部品生産企業はベトナム市場に魅力を感じないでしょう。


Q: 自動車価格の上昇に加え、交通渋滞の緩和策として自動車の個人所有が制限されることが懸念されています。ホーチミン市交通工務局は市人民委員会に対し、市中心部の主要道路への自動車乗り入れ制限、自動車所有者への増税などを提議しました。これらが承認されれば、誰もが自動車購入をためらうのではないでしょうか?

A: 現在、ベトナム国内の自動車登録台数は40万台で、これには輸入された中古トラックも含まれています。ベトナムとほぼ同じ面積の国土を持つ日本では、7,300万台の自動車が登録されています。その一方で、ベトナムの自動車販売台数は昨年4万2,000台でした。人口がベトナムとほぼ同数のタイでは、年間販売台数は平均約50万台です。マレーシアの人口はベトナムの3分の1程度ですが、自動車販売台数は年間平均40万台となっています。ベトナムでは今後多くの自動車が必要とされると思います。
 交通渋滞の主な原因は、交通ルールを守らないバイク運転手や、老朽化したトラックが多いことです。交通渋滞を緩和するためには、まず、バイク運転手に対し交通ルールの教育を徹底し、中古トラックの輸入を禁止する必要があります。


Q: 御社の工場は年初から3度の操業停止を余儀なくされ、工員60人を解雇しました。これまでにベトナム市場からの撤退を考えられたことはありますか?

A: 弊社は販売代理店も含め数千人の従業員を抱えており、彼らの生活を保障する義務があります。ですから、市場の状況が思わしくないにも関らず、弊社は新型Canter 1.9LWと新型Jolie 2.0の宣伝を大々的に行ったのです。
 私はベトナムに赴任して3年になりますがベトナムには愛着を感じており、今後も潜在性のあるこの市場の発展に貢献したいと願っています。

(Doanh Nhan Sai Gon Cuoi Tuan)
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